手のなかに残るもの
以前、遠い北の町にある山のふもとの神社に、
バスで揺られていったことがあります。
遠くから来た者を迎えるがごとく、参道に入るなり雷と雨が・・・。
私は傘を持っていたのですが、同じバスで神社に来た背のちいさなおばあさんは
傘を持っていませんでした。
すると、同じく神社に来ていた男性が私が動くより早く
そのおばあさんに、そっと傘を差し出していました。
悪がって断るおばあさんにその男性は
「僕は大丈夫だから使ってください。
傘はそのバス停に置いておいてもらえればいいですから」と笑顔で言って
おばあさんに傘を渡します。
それを見ていた私は、心がとてもおだやかで温かくなり、そして嬉しくなり
あぁこの瞬間に立ち会えて良かった、幸せだな・・・
と感じたことを、今でも鮮明に覚えています。
ほどなく雨も止み、雨があがった中で参拝できたことも
神様に歓迎されたかのような出来事として残っています。
生きる年数が増えていくと、色々な出来事が起きます。
その中には持っている必要のないものと、
大事にしたいこと、大事にしなきゃいけないことがいくつかあって、
この出来事は私が大切にして生きていくことのひとつと感じています。
春が近づくと思い出しては愛しくなる・・・思い。
2017-02-26 | Posted in 過去記事 | No Comments »
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